ビリギャル

2015年05月27日19:15

映画「ビリギャル」は、あまりに感動したので三回も見てしまいました。
「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話」
(坪田信貴著、KADOKAWA)というのが原本ですが、
ここに出てくる主人公のさやかちゃんの
発想のユニークさと天真爛漫さに魅了され、
何度も吹き出しながら、そしてちょっぴり目を潤ませながら
一気に読んでしまいました。
それが映画になることを知って、以来ずっと心待ちにしていました。

この映画のすばらしさはひと言では言えないのですが、
単純に、高二の夏の段階で
strongを「日曜日」と訳し(映画では「話しが長い」と訳していました)、
「Hi, Mike!」を「ヒー、ミケ」と読んでいた子が、
一年後の模擬試験で英語の偏差値が70を越えるまでになった、
というだけでも感動ものです。

一応、私も受験勉強を経験しているので、
これがどれくらいすごいことなのかよくわかります。
全国の受験生70万人の下から2%の成績の人が、1年後には上位2%に入る、
つまり67万人以上をごぼう抜きにしたということですから
信じがたい程の努力をしない限り、そんな成績はとれません。
これひとつだけでも十分涙が出てきます。
最近の彼女のインタビュー記事を見ると、
当時は毎日15時間勉強していたと言っていました。
それくらいしないと、こんな成績とれないよなあ~と、
改めて思いました。

もちろん、努力だけではこうはいかなかったと思います。
私は、彼女にはそれなりの才能があったとは思うのですが、
その才能に気づき、それを開花させた塾講師の坪田先生の存在なくして、
この物語はありえません。

彼女は、高二の段階で小四くらいの実力しかないとわかり、
まずはそこから勉強を始めていますが、
やり出したらすごいんです。
中学英語の復習を11日間で終え(映画では中学英語を3週間でマスター)、
その後すぐに、高校英語の勉強に取りかかっています。

これだけの力がある子が、学校では「人間のクズ」と言われ、
学年ビリに放置されていたのです。
それを引きだした坪田先生は、優秀な講師と言うよりも、
まさに人をやる気にさせるプロだと思いました。
坪田先生も本で書いていましたが、
彼は生徒をやる気にさせるための様々な心理テクニックを駆使しています。
この点も、この映画の見どころのひとつです。

ただ彼女の常識のなさと発想のおもしろさは超一流です。
東西南北がどちらの方向かを知らなかったり、
「ヘーアンキョウさんて何した人?」とたずねたり、
縄文時代の次が、少年時代と少女時代だったり、
「コーランは何語で書かれている?」という質問には
「1万5千語」(正解はアラビア語)と答えたりするのです。
でも、彼女の発想力の豊かさと頭の回転の速さを
坪田先生は見抜いていたのです。

勉強が面白くなってきた彼女は、だんだん実力がついてきました。
「地動説は誰が唱えた?」「コロンビア!」
(コロンブスと言いたかったのでしょうが、正解はコペルニクス)、
「ブラジルの首都は?」「カンボジア」(正解はブラジリア)と、
少しずつですが、まともな答えに近づけるようになっていったのですが、
それでもまだ慶応に受かるには、
どうしようもない程のレベルの低さでした。

特に近代史は致命的で、慶応受験の三ヶ月前でも
「福沢諭吉は何を作った人?」「電話でしょ!」
「違う!君の行きたいところだろうが!」(正解は慶應義塾大学)
「わかった、焼き鳥屋!?」(映画では「焼き肉屋」)
というレベルだったようです。
映画では十分笑えますが、現実を考えると全然笑えません。

坪田先生の、生徒の才能を引きだすやり方は天才的です。
教えるのではなく、やり方を教える、
興味の持つ話題でたとえ話をする、
「できた」という成功体験をさせる等々、
心理学のテクニックも駆使しながら、
生徒のやる気を引きだしているのです。

これくらいのテクニックなら、誰でもできそうな気もするのですが、
実は、もっと大切なことを意識的にしていました。
それは、生徒との信頼関係作りです。
初対面の生徒に対して、心の中で相手を抱きしめるイメージを描く、
どんな生徒に対しても、最初と最後にはきちんと挨拶をする、
言葉だけではなく、相手に合わせたほめ方をする、
生徒をよく見る等々、
様々な努力をして、その生徒との信頼関係を作っていました。

このような努力があってこそ、
はじめてやる気を引きだすテクニックが活きてくるのです。
このあたりの重要さは、医者患者関係でも全く同じことが言えるので、
坪田先生の言っていることはとてもよくわかります。

生徒をやる気にさせる方法には
ネガティブな思い込みをうまく利用するという方法もあります。
映画では、弁護士の父親に
「お前も将来は弁護士になるんだ!」と強要する父親に反抗して、
「オヤジの言いなりになんか絶対になるもんか!」と言って
一切勉強しなかった男子生徒が無理矢理塾に連れてこさせられて、
坪田先生と話しをしたら、みごとに坪田マジックにはまり、
勉強をがんばり始めるという場面があります。
ここで使ったテクニックなどはまさにこれです。
どんなテクニックを使ったかと言うと…それは映画を見てのお楽しみ!

そして、この映画のもうひとつの見所は
ああちゃん(お母さん)の、さやかさんに対する愛情の深さでしょう。
ああちゃんは、いつでも彼女の味方でしたし、
常に彼女のことを信じていましたし、
どんなときでも彼女を支え続けていました。
ああちゃんの存在なくして、
彼女は決してここまでやってこられなかっただろうし、
当然、慶応の合格もなかったと思います。

本人の努力はもちろん大切ですが、その原動力となるのは
その人の力を見抜き、引きだす人の存在、
その人を信じ支える人の存在、
そして、その人を見守り応援してくれる人たちの存在です。
そんな人たちの存在と自分の努力が相まって、
人はときとして
不可能を可能にする力を発揮することができるのだということを
この映画は教えてくれた気がします。

上映から三週間が経ちましたが、まだ映画館はほぼ満員でした。
周りでは、涙をぬぐう人たちがたくさんいました。
(私は、恥ずかしいので人知れずそっとぬぐっていました)
この映画は、一人でも多くの人に見てもらいたいと思います!
できたら、原本(文庫版はイマイチです)も読んでもらいたいです!
あなたの人生にも、きっと少なからぬ影響を与えてくれることでしょう!

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コメント

ビックリ!

ご無沙汰しております。以前、HPSで先生の講義を受けた杉本と申します。私はまだビリギャルの本も映画も見ていないのですが、気になっている作品だったので先日、偶然テレビでやっていた坪井先生の取材を見たのです。その時、坪井先生が生徒さんの相談に乗られている様子を見ていて「(相談の乗り方が)黒丸先生みたいだなぁ」と思いながら見ていたのです!!
なので、その黒丸先生のブログがビリギャルについてのものだったので、ビックリしました!!!
益々、興味が湧いてきましたので、明日はまず本屋にいってきます!

  • 2015年05月30日 01:12 |
  • 杉本 URL :
  • 編集

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プロフィール

黒丸尊治

Author:黒丸尊治
もともと心療内科医でしたが、縁あって今は緩和ケア医として仕事をしています。もともと、コミュニケーションや「心の治癒力」に大変興味をもっており、今はホリスティック医学にもかかわっています。どちらかというと、のんびり屋でマイペースです。あまり人と同じことをしたくないという、天の邪鬼なところあり。
ホリスティックコミュニケーション実践セミナーHPはこちら。
http://holicommu.web.fc2.com

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