私のスピリチュアルケア論

2014年12月02日12:31

最近、スピリチュアルケアについて話をする機会があったので、
それを機に、スピリチュアルケアについてもう一度考えてみました。

緩和ケアの領域では、スピリチュアルケアとかスピリチュアルペインという言葉は、
日常的に使われているのですが、
しかし未だにはっきりとした定義がありません。
ただし、それを具体的な言葉で表現することはある程度可能です。
「なぜ、自分は死ななくてはいけないのか」
「なぜこんなに苦しまなくてはいけないのか」
「こんな状態で生きていて何の意味があるのか」といった、
患者さんの魂からの叫びともいえる苦悩がスピリチュアルペインであり、
その苦悩を和らげ癒そうとするかかわりがスピリチュアルケアと言えます。

また、このような苦悩をどうしたら癒すことができるのかについては
様々な人が色々なことを言っています。
緩和ケアの世界でよく言われているのが、
「絶対的な存在とのつながり」や「生きる意味や存在の意味」に気づくことが
スピリチュアルペインからの解放をもたらし、
それを援助するかかわりがスピリチュアルケアだという考え方です。

しかし私はこの考え方にはあまり賛同していません。
なぜならば、このような緩和ケア特有?の小難しさもさることながら、
つながりや生きる意味への「気づき」が重要であるというような理想論を掲げ、
そこを目指した取り組みでなければスピリチュアルケアではないような、
そんな思いを抱かせる偏狭で盲目的な思考回路を
私は持ち合わせていないからです。

裏を返せば、
生きる意味に気づかなければスピリチュアルペインはなくならないの?
そんな悟りを開くような状態に一体どれだけの人が辿り着けるの?
気づけなかった人はみんな落伍者?
そんなことをしなくても癒されている人ってたくさんいない?
と言いたいのです。

では私はどう考えているのか。
私が考えているスピリチュアルケアとは、
いわゆるスピリチュアルペインを持った患者さんが、
どんな方法であれ、多少なりとも安らぎや癒しがもたらされたならば
それらはすべてスピリチュアルケアだという考え方です。
ですから、必ずしも生きる意味に気づく必要などないということです。

具体的に次の四つの段階を考えています。
まず、すべての根底をなすかかわりとして
傾聴力と反応力は必要不可欠だと思っています。
つまり、相手の話にじっくり耳を傾けるという姿勢と、
「自分の苦しみをわかってもらえた」と相手に思ってもらえるような
反応をしっかり返すということです。
このような対応だけでも癒される患者さんはたくさんいます。

それに加え、時間の経過も重要だと思っています。
病状の悪化に伴い、次第に現実を受け入れる患者さんが
少なからずいることを思うと、
時間の経過は明らかに
患者さんに癒しをもたらす重要な要因のひとつだと思うのです。

次の段階としては、アロマセラピーなどの
癒し系代替療法によるかかわりがあります。
どんな苦悩を抱えている人でも、アロマセラピーなどを受けると
その時間はとても安らいだ表情になるのがわかります。
スピリチュアルペインを抱えているにもかかわらず、
このような癒され体験ができるのであれば、
それは紛れもなくスピリチュアルケアだと私は思うのです。
なぜならば、アロマセラピーを受けている瞬間は
少なくともスピリチュアルペインから解放されているからです。

三番目として、治療的代替療法の利用があります。
「まだ死にたくない、あきらめたくない」という
スピリチュアルペインを持っている人には、
免疫療法などの治療的代替療法を試みることが、
患者さんの苦悩を軽減し、希望をもたらすことになり、
その意味では、これもまた立派なスピリチュアルケアだと思うのです。

最後が生きる意味や人生の意味に気づいてもらえるようなアプローチです。
死後の世界や宗教的なかかわりに関心を持つ患者さんがいれば、
そのような視点から話をすることもよいでしょう。
もちろん、キリスト教や仏教、新興宗教とのかかわりが
スピリチュアルペインを和らげてくれる可能性も十分にあります。

これ意外にも様々なアプローチがありますが、
重要なことは生きる意味に気づくというような理想論に
いつまでもこだわり続けるのではなく、
その人の身の丈にあったアプローチをしていけばよいということです。
それがその人に少しでも癒しをもたらすことができたならば、
私はそれが、その人に取っての立派なスピリチュアルケアだと思っています。
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  • 2014年12月28日 10:01 |
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プロフィール

黒丸尊治

Author:黒丸尊治
もともと心療内科医でしたが、縁あって今は緩和ケア医として仕事をしています。もともと、コミュニケーションや「心の治癒力」に大変興味をもっており、今はホリスティック医学にもかかわっています。どちらかというと、のんびり屋でマイペースです。あまり人と同じことをしたくないという、天の邪鬼なところあり。
ホリスティックコミュニケーション実践セミナーHPはこちら。
http://holicommu.web.fc2.com

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