本当の癒しをもたらすために

2013年06月26日06:01

セラピストがクライエント(患者さん)とかかわるとき、
何がクライエントを癒すのかは、
私にとって最も関心のあるテーマのひとつです。
今回はこのことについて、
アロマセラピーを例にとって説明をしていきたいと思います。

人がアロマセラピーを受けた際、
クライエントは至福の喜びを感じ、誰もが癒され感を味わうことと思います。
ではこの時、何がクライエントに癒しをもたらすのでしょうか。

まずマッサージ(トリートメント)による物理的なタッチ効果や
エッセンシャルオイルによる香りの効果は外せません。
たいていの人は、このタッチや香りの感覚が
癒しをもたらすのだと感じていると思いますが、
実際には、これは全体の中のひとつの要素に過ぎません。

では他にどのような要素が関係しているのでしょうか。
それはクライエントのアロマセラピーに対する信頼感や期待感です。
もしもクライエントが不信感を持っていたらどうでしょうか。
せっかくのタッチによる癒し効果も半減してしまう可能性が出てきます。
もっとも、最初は不信感を持っていたとしても
タッチによる心地よさを体験することにより
いつの間にか不信感はぬぐい去られてしまうということはあります。
クライエントのネガティブな思いをはね除けるだけの体験が提供できるかは、
セラピストにとって腕の見せ所でしょう。

意外と忘れがちなのがセラピストの雰囲気や態度による癒しです。
クライエントの好みもあるので、
このような雰囲気が人を癒すということは一概には言えませんが、
包み込んでくれるような雰囲気や物腰の柔らかさを持ったセラピストは
それだけで人を癒す要素をも持っていると言えるかもしれません。
当然のことながら、セラピストが男性なのか女性なのか、
清潔感があるのかないのか、明るいのか暗いのかといった
見た目の要素も大きく関係してくることは言うまでもありません。

ただし、第一印象があまりよくないセラピストであったとしても
かかわっているうちに信頼関係がついてくれば、状況は一変し
クライエントの癒され感はグッと高まります。

では、クライエントはセラピストの何に信頼感を持つのでしょうか。
それは、かかわり方の丁寧さや思いやりの心といったこともありますが、
実はクライエントとの間で交わされるさりげないコミュニケーションの中に
人は安心感や信頼感を持ち、それが癒され感につながっていくのです。

自分が教えてほしいことを的確に教えてくれたり、
わからないところを納得できるように説明してくれたりすれば、
そのセラピストに対する信頼感は大きく膨らみます。
ただそれらがアロマセラピーに関連することであれば、
それなりの知識やスキルを持っている人であれば十分に対応可能ですが、
コミュニケーションによる安心感や信頼感を持ってもらうためには、
実はこのあとが大切になってくるのです。

ある程度の信頼関係ができてくると、今度はさりげない会話の中で
ちょっとした悩みごとを相談してくるようになることがしばしばあります。
しばらく話しを聴いてあげる程度ですむような問題であれば
さほど難しくはないのですが、
家庭や職場での人間関係の問題で悩んでいたりすると結構深刻な問題もあり
話しを聴くだけではどうしようもないというケースも珍しくありません。

当然、クライエントはどうしたらよいのかというアドバイスを求めてきます。
セラピストもアロマセラピーの勉強はしていても
悩みごとを解決するためのコミュニケーションスキルまでは学んでいないので、
話しを聴いたり、ありきたりのアドバイスをしたりする以上には
なかなかうまい対応ができないのが普通です。

アロマセラピーによるかかわりを通して、
クライエントに癒しをもたらし、信頼関係も築けたからこそ
そのような悩みごとも相談されようになるわけですから、
そこにきて、話しを聴いてあげること以上のことができないというのは
セラピストとしては何とももどかしく、残念に思うことではないでしょうか。

だからこそ、アロマセラピーに限らず
どんなセラピーに携わるセラピストであったとしても
クライエントの思いに寄り添い、悩みや問題をある程度解決できるような
そんなコミュニケーションスキルを身につけておくことが、
より一層の信頼感を持ってもらうためにも大切になってくるのです。

そして、このようなかかわりの中で問題が解決されたならば、
これこそが本当の意味での癒しだと言えるのではないでしょうか。
自分が抱えている問題が解決することほど、心がスッキリすることはありません。
心地よさや身体的な癒され感も大切なのですが、
さらに一歩進んだ本当の意味での癒しをもたらすセラピストになるためにも、
問題解決のためのコミュニケーションスキルを
セラピストの方々には是非とも身につけてもらいたいものだと思っています。
スポンサーサイト

テーマ : モノの見方、考え方。
ジャンル : 心と身体

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


プロフィール

黒丸尊治

Author:黒丸尊治
もともと心療内科医でしたが、縁あって今は緩和ケア医として仕事をしています。もともと、コミュニケーションや「心の治癒力」に大変興味をもっており、今はホリスティック医学にもかかわっています。どちらかというと、のんびり屋でマイペースです。あまり人と同じことをしたくないという、天の邪鬼なところあり。
ホリスティックコミュニケーション実践セミナーHPはこちら。
http://holicommu.web.fc2.com

最新記事

検索フォーム

QRコード

QRコード