俯瞰力について

2011年07月07日19:36

最近、俯瞰(ふかん)力という言葉に魅力を感じています。
俯瞰とは、高いところから見下ろして眺めるという意味ですが、
すこし高い視点に立ち、全体を見渡すという意味でも使われます。

俯瞰力という言葉は、断捨離の本で有名なやましたひでこさんの書いた
「俯瞰力」(マガジンハウス)という本を読んで、
これはいい言葉だなあと思ってから、私もよく使うようになりました。

断捨離とは不要なものを取り除き、必要なものだけに絞り込む作業です。
やましたさんは、片付けの方法としてこの断捨離の考え方を提案しています。
このような自分が本当に必要なものを絞り込む作業をする際に、
実はこの俯瞰力が必要になってくるのです。

一般的に片付けができない人、ものが捨てられない人は
この服はいつかまた着るかもしれないとか、
この食器は誰々からもらった記念の品だからとか、
このボールペンはまだ使えるからといった理由で
不要なものをどんどんため込んでしまいます。
ここで俯瞰力を働かせることができれば、
今、必要なものか否かを見極めることができるので、
ものを絞り込み、整理や片付けができるようになるというわけです。

さて、ここからが本題です。
仕事にせよ、コミュニケーションにせよ、企画にせよ
この俯瞰力を持っている人は、全体のことを考えながら、
今何が大切か、何を最初にすべきかということを考えられるのですが、
俯瞰力に乏しい人は部分ばかりに目が向いてしまい、
全体が見えないため、どうも仕事が上手くいかないとか、
ついつい相手と対立してしまうという事態に陥ってしまいがちです。

対立や批判が生じるのは部分ばかりを見ているからであり、
全体を見て、今何をする必要があるのかが具体的に見える俯瞰力のある人は、
部分に囚われることがないため、対立や批判もあまり出てきません。

また最近、とても関心のある問題解決のための理論があるのですが、
それがTOC(Theory of Constraints:制約理論)と言われるものです。
これは企業における生産管理からマーケティング、教育等々、
様々な分野で応用され、めざましい成果を上げている手法です。

ここでもよく言われるのが部分最適ではなく全体最適ということです。
例えば、企業でも営業部門、経営部門、製造部門、開発部門と
各々が自分らの主張をしますが、往々にして各部門で対立が起こります。
これは、各部門の利益という部分最適にばかり目が向けられ、
企業の利益という全体最適に目が向けられないことにより生じる対立なのです。
つまり全体を見ずに、部分ばかりを見ているとことにより生じる対立です。
これらの相矛盾する対立を上手く解消するための手法がTOCにはあります。

しかしここで大切になってくるのが、やはり俯瞰力です。
ただTOCの場合、全体が見えるように
もう少し詳しく部分と部分のつながりに注目をしていきます。
その意味で、俯瞰力を発揮するためのより具体的な手法を
TOCは提供してくれていると言えるかもしれません。

また、私が現在セミナーで教えている
ホリスティックコミュニケーションでも同様なことが言えます。
これは、クライエントの問題を明確にし、
その問題を解決していくための手法なのですが、
その人の抱えている問題のポイントは何なのかを明確にする過程において、
俯瞰力、つまり全体を見た上で、その問題を解決するために、
何が一番重要なポイントなのかを見極める視点が必要になってきます。

こう考えてみると断捨離もTOCもホリスティックコミュニケーションも、
それを実践する過程において俯瞰力がとても大切になってくるのです。
いくら方法論やマニュアルがあっても俯瞰力がなければ、
結局は部分を見て行動することになってしまい、
全体を見渡したうえで、最適な部分に焦点を当てるということができないのです。

あるとき、居酒屋に十数人の仲間と一緒に飲みに行きました。
すると、二時間でラストオーダーになりますがよろしいでしょうかと言われたので、
もちろん構いませんと答え、みんなで飲み始めました。

みんなで楽しく飲んでいると、あっと言う間に二時間が経ちました。
すると店員が「そろそろお時間ですので」と言って精算を求めてきました。
これが満員の店内であれば、何の問題もなかったのですが
その日は、大きな店内に、私たちのグルーブ以外に数人が飲んでいるだけでした。
外は大雪ということもあったせいか、どう見ても店内はガラガラなのです。
つまりその店員は、なぜ二時間で客を切り上げさせなといけないのか、
その意味が全くわかっていなかったのです。

これなどは部分の寄せ集めでしかないマニュアルを
何の疑いもなく現場に当てはめた典型的な例と言えましょう。
この店員は、お客さんがほとんどいないという全体の状況を見た上で、
今日は二時間で帰ってもらわず、もっと長く飲んでいてもらった方が
お店としては儲かるという視点、
つまり俯瞰力を全く持ち合わせていなかったのです。

様々な人や部門から構成されている現場において、全体を見渡しつつ、
何が最適なのかを見極めることはそう簡単なことではありません。
でも、コミュニケーションを始め、仕事や日常生活においても
この視点、つまり俯瞰力は極めて重要な力だと思っています。
この俯瞰力を磨くためにはどうしたらよいのか、
この点にも今、強い関心を持っています。
今後は、この分野にもエネルギーを注いでいきたいと考えています。
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テーマ : 気付き・・・そして学び
ジャンル : 心と身体

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  • 2011年07月13日 17:16 |
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プロフィール

黒丸尊治

Author:黒丸尊治
もともと心療内科医でしたが、縁あって今は緩和ケア医として仕事をしています。もともと、コミュニケーションや「心の治癒力」に大変興味をもっており、今はホリスティック医学にもかかわっています。どちらかというと、のんびり屋でマイペースです。あまり人と同じことをしたくないという、天の邪鬼なところあり。
ホリスティックコミュニケーション実践セミナーHPはこちら。
http://holicommu.web.fc2.com

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