新刊本『緩和医療と心の治癒力』

2011年05月12日15:25

ようやく新しい本ができました。
「緩和医療と心の治癒力」(築地書館)です。
緩和ケアに関して私が思っていることや考えていることを
この本ですべて吐き出させて頂きました。
そのため、通常の緩和ケアの本とはずいぶんと異なり、
とても風変わり?な内容のものに仕上がっています。

緩和ケアの世界では患者さんは遅かれ早かれ亡くなる、
ということが大前提になっています。
治療困難になったがん患者さんがほとんどなので、
亡くなるのが前提であるのは当然といえば当然です。
ただこれは、あくまでも医療者目線から見た緩和ケアの姿なのです。
一方、患者目線に立つと全く異なる光景が広がります。

緩和ケア病棟に入院された患者さんといっても様々な人がいます。
中には、まだあきらめたくないと思っている患者さんもいます。
五十歳くらいまでの若い患者さんであれば特にそうかもしれません。
そのような患者さんは、自分が死ぬことを前提には考えておらず、
まだ生き続けることを前提に物事を考えているのです。
だからこそ、代替療法に一生懸命取り組んだり、
未来の自分に思いを馳せ巡らせながら、日々の入院生活を送っているのです。
みんな希望を持ち続けたいのです。

私がこの本で一番言いたかったことは、
患者目線から、もう一度緩和ケアを見直してみませんか?ということです。
医療者は、当然患者目線に立って医療をしていると思っていますが、
私から見ると、必ずしもそうではないと思われることが多々あるのです。

第二章ではそのことを「緩和ケアの素朴な疑問」として書いています。
例えば、緩和ケアでは治療的かかわりをしてはいけないのでしょうか?
末期がんの患者さんはもうよくならないのでしょうか?
痛みを我慢してはいけないのでしょうか?等々、
緩和ケアに携わる医療者から見ると、ちょっと眉をひそめられそうなことを
六項目にわたって書いており、
それらの話を、第三章以降で展開していくという形になっています。

最後の第六章は心の治癒力について書きました。
一般的な緩和ケアの発想と最も異なるのがこの章です。
医療における私のテーマは心の治癒力です。
当然、緩和ケアを考える上においても、
心の治癒力を抜きにして、これを語ることはできません。
そんなわけでこの章は心の治癒力とプラシーボ、代替療法とのつながりについて
かなり詳しく書いたつもりです。

そして本書の最後をがんの自然寛解(治癒、退縮)の話で締めくくっています。
末期がんの患者さんは皆さん亡くなるという、
緩和ケアの大前提にひびが入るような話が展開されていきます。
少なくとも、最後まであきらめたくないと思っている患者さんにとっては
そこに希望の灯火を見出すことができるのではないでしょうか。

死ぬことを前提とした緩和ケアの本の中で一冊くらい、
末期がんがよくなる話しで終わる本があってもよいのではないでしょうか。
医療者目線からすれば鼻であしらわれそうな話題ですが、
患者目線から見ると、目を輝かすテーマなのです。
それくらい医療者と患者さんとは視点が異なるのです。

患者目線から見える緩和ケアの姿が一人でも多くの人に伝われば、
また、少しでも患者さんに安らぎや希望がもたらされるならば、
私がこの本を世に出した意味は十分にあると思っています。
興味のある方は是非読んでみてください。
もしよかったら感想もお聞かせ下さい。
ありがとうございました。
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  • 2014年05月19日 01:23 |
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  • 2014年05月20日 07:02 |
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プロフィール

黒丸尊治

Author:黒丸尊治
もともと心療内科医でしたが、縁あって今は緩和ケア医として仕事をしています。もともと、コミュニケーションや「心の治癒力」に大変興味をもっており、今はホリスティック医学にもかかわっています。どちらかというと、のんびり屋でマイペースです。あまり人と同じことをしたくないという、天の邪鬼なところあり。
ホリスティックコミュニケーション実践セミナーHPはこちら。
http://holicommu.web.fc2.com

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