しっかり「ボーッとする」という行動

2009年08月25日06:34

先日30代の乳がんの女性が、緩和ケアの外来に来た。
まだ化学療法をしているが、すでに肺転移や肝転移があるので、
外出の際は酸素は手放せない。
それでも、今は食事もできているし、外出もできるという。

抗がん剤の治療は他の病院で受けているのだが、
緩和ケアには、痛みのコントロールと言うよりは、
精神的な面でのフォローを希望され、
月に1回くらい通院してきている。

私が、普段は何をしているのかと尋ねると、
夜はメールやインターネットをして過ごしているが、
日中はボーッとしていることも多いと言う。

彼女は「本当はもっと夢中になれることがあるとよいのでしょうが、
なかなか熱中できるものが見つからなくて…」
私は「人それぞれだし、ボーッとしているのもいいんではないですか」と言うと、
「私、結構、何もしないでボーッとしているの得意なんです」
という返事が返ってきた。

「あまりこれをしなくては!と思ってがんばりすぎるよりも、
ボーッとしているのが得意だったら、それをしている方が、
あなたにとってはずっと、よいかもしれませんね」

すると、彼女は笑顔になり、
「そう言われるとホッとします。
こんなせっぱ詰まった状態だから、もっと何かしなくてはと、
思ってしまうんですが、それがなかなかできないんです。
でも、ボーッとしていていいと言われると、
なんか、安心しました」

人は、せっぱ詰まるとどうしても焦ってしまう。
そのため、ジタバタするが、結局どうしよう、どうしようという思いが
頭の中でグルグル回っているだけだ。
でも、ボーッとしていることも、立派な「行動」なのだ。
その人は、しっかりと「ボーッとしている」ことを実践しているのだ。
これで、いいではないか。
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テーマ : こころ
ジャンル : 心と身体

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プロフィール

黒丸尊治

Author:黒丸尊治
もともと心療内科医でしたが、縁あって今は緩和ケア医として仕事をしています。もともと、コミュニケーションや「心の治癒力」に大変興味をもっており、今はホリスティック医学にもかかわっています。どちらかというと、のんびり屋でマイペースです。あまり人と同じことをしたくないという、天の邪鬼なところあり。
ホリスティックコミュニケーション実践セミナーHPはこちら。
http://holicommu.web.fc2.com

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