問題解決と傾聴、受容、共感

2011年02月28日15:00

コミュニケーションのセミナーをやっていると色々な発見があります。
今やっているホリスティックコミュニケーション実践セミナーは、
インスー・キム・バーグらが始めた解決志向アプローチを軸にして、
それに私の十数年の臨床経験の中で学んだことを取り入れ
独自のプログラムを作ってやっているものです。

解決志向アプローチは患者さんの心の治癒力をうまく引きだすための
とても有用なツールだと思っています。
通常のアプローチでは、つい問題ばかりに目が向いてしまい、
「なぜうまくできないのか」といったような質問をすることが多く
そのためなかなか問題の解決には至りません。

そうではなく、今までに「うまくやれたこと」や、
問題が解決したら「こんなことをしている」といったことに注目し、
その返答を引きだすような質問をすることで、
患者さんに問題解決のための気づきやヒントを見つけ出してもらうというのが
解決志向アプローチの最も中心となるところです。

しかしその一方で、問題の解決にばかり焦点を当てているせいか、
患者さんの苦悩や悲しみといった部分にはあまり積極的に目を向けません。
なぜならば患者さんはいかに自分が不幸なのか、いかに自分がダメなのか、
といったことに話しが終始してしまうため、そのような話しを聴いていても
なかなか問題解決には結びつかないからです。

しかし、多くの患者さんを診てきて感じるのですが、
やはりこのような苦悩や悲しみをしばらく吐き出させてあげ、
それに耳を傾けながら、
そのような状況であったにもかかわらず今までよく耐えてきたということを
メッセージとして伝え、ねぎらってあげることはとても重要だと思うのです。
そうすることによって、不安定だった気持ちは次第に落ちつき、
それが心の治癒力をうまく発揮できる準備状態を作るのだと思うのです。

運動や食事の習慣を改善させたり、
ビジネス上の問題を解決したりというのであれば、
解決志向アプローチを中心としたかかわりだけでも十分かもしれませんが、
愛する人や子どもを亡くし途方に暮れている人であれば、
やはりその悲しみをじっくりと受け止め、
時間の経過とともに少し気持ちが落ち着いてくるのを待つというのが先決でしょう。

つまり傾聴、受容、共感といった感情的、情緒的側面に焦点を当て、
それを受け止めてあげるというかかわりも大切ですし、
その一方で心の治癒力に焦点を当てた問題解決のためのアプローチも重要です。
この両者の視点があってこそ、様々な問題で悩み苦しんでいる患者さんに対して、
柔軟で適切な対応ができるようになるのです。

以前は問題解決にばかり意識が向いていましたが、
最近はセミナーで様々な参加者の問題を聴かせてもらううちに
やはり両者とも重要だなと思うようになってきました。
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テーマ : カウンセラーやセラピストのお仕事
ジャンル : 心と身体

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プロフィール

黒丸尊治

Author:黒丸尊治
もともと心療内科医でしたが、縁あって今は緩和ケア医として仕事をしています。もともと、コミュニケーションや「心の治癒力」に大変興味をもっており、今はホリスティック医学にもかかわっています。どちらかというと、のんびり屋でマイペースです。あまり人と同じことをしたくないという、天の邪鬼なところあり。
ホリスティックコミュニケーション実践セミナーHPはこちら。
http://holicommu.web.fc2.com

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