自己変革への近道

2010年04月29日08:33

長年心療内科に携わり、多くの患者さんを見てきた。
様々な心理療法を勉強し、自分なりの関わり方を築き上げてきた。
その経験をもとに今、ホリスティックコミュニケーション実践セミナーを行っている。
一人でも多くのセラピストや医療関係者に、
クライエントや患者さんの「心の治癒力」をうまく引き出すような
関わり方やスキルを知ってもらいたいと考えたからだ。

しかしセミナーをやるうちにだんだんと「スキル」にこだわらなくなってきた。
もっと大切なのは、どこに焦点を当てながら相手の話を聴くのかという、
その視点や観点、ものの見方の方がずっと大切だと気づいたからだ。
つまりクライエントの「できていること」や「うまくやれていること」に
焦点を当てながら話を聴くという視点だ。

この視点が身についてくると、
自分の周囲に対するものの見え方も変わってくるし、
また自分自身への見方も変わってくる。
人は誰でも長所もあれば短所もある。
しかし、並の人間はとかく“短所”に目を向けやすい。
それが他人の短所であれば、批判的になったりネガティブな感情を抱いたりする。
それが自分の短所であれば、自責の念にかられたり自信をなくしたりする。

ところが「できていること」や「うまくやれていること」に
目を向けるクセがついている人は、
他人であれ、自分であれ、自ずとポジティブな側面に焦点を当てられるので
気持ちも自ずと明るくなるし、褒めてあげることもできる。
そうなれば、様々な困難があったとしても
それを乗り越えられる「きっかけ」に出会うチャンスも多くなる。
その結果、いつの間にか困難を乗り越え、問題を解決できるようになる。

これって、もしかして自己変革?と、ふと思った。

自己啓発関連の本を読んでいると、よくこの「自己変革」という言葉に出くわす。
聞こえはいいが、実際問題として、そう簡単にできるものではない。
いくら頭で自分を変えようと思っても、
実は潜在意識のレベルで
そんなことできるわけないと思っていることが多いからだ。
人はネガティブな側面に目を向ける習性を誰もが持っている。
当然、その習性は潜在意識の根底に存在している。
そうであれば、なかなか自分を変えられないのも無理からぬことだ。
知らず知らずのうちに自動装置であるその潜在意識が働くからだ。

このように自分を変えるというのは、なかなか困難なことだ。
自分の身内や身近な人を変えるのも、
様々な利害関係や感情が絡むのでこれも結構難しい。
しかしカウンセリングなどの場で、相談に来た第三者の人を変えるのは、
ちょっとしたコツさえ知っていれば、そう難しいことではない。
そのコツとは先ほどから言っている、「できていること」や「うまくやれていること」に
焦点を当てながら相手の話を聴くという、ものの見方のことだ。
相手が利害関係のない第三者であれば、少し練習をすれば
このようなコツを身につけることはそう難しいことではない。

カウンセリングという形で、このようなものの見方を少しずつ練習していくと、
そのクセは次第に自分の潜在意識にすり込まれていく。
つまり、ネガティブな見方しかできなかった人であったとしても、
次第にポジティブな見方ができるようになってくるということだ。
そうなれば段々と自分や周囲の人への見方や「見え方」も変わってくることになる。
少なくとも、そのような見方をしようと思えばできるというレベルまでは変わる。
そうなれば行動も変わってくるし、その結果変化も生じる。
これはまさに、自己変革そのものではないだろうか。

スキルやテクニックも大切だが、これをいくら磨いたところで
第三者に変化をもたらすことはできても自分自身を変わることはない。
テクニックは所詮テクニックであり、小手先の技術だ。
大切なのは、その先にあるものの見方である。

特に「できていること」に焦点を当てるという視点は、
肯定的な感情を引き出しやすい。
またそれに伴い、ちょっぴり褒めてあげる、評価してあげるということもできる。
他人にせよ自分にせよ、
自然と褒めたり評価してあげたりすることができるようになれば、
どんどん好循環が生まれる。
ちょっと前にはやった「引き寄せの法則」にも通じるところだ。

人は褒められたり評価されたりしたらうれしい。
でもそうできるようになるためには、
その人の「できていること」に目を向けるクセがないとなかなか難しい。
下手に褒めるとわざとらしくなるだけであり、かえって逆効果だ。
やはりそこには、肯定的なものの見方ができる自分が必要なのだ。

第三者への「できていること」に焦点を当てるというトレーニングを通して、
相手に変化をもたらすことができるし、
同時に、自分自身にも変化をもたらすことができる。
自己変革の近道は、こんなところになるのかもしれないと思った。
スポンサーサイト

テーマ : 思う事・・・
ジャンル : ブログ

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


プロフィール

黒丸尊治

Author:黒丸尊治
もともと心療内科医でしたが、縁あって今は緩和ケア医として仕事をしています。もともと、コミュニケーションや「心の治癒力」に大変興味をもっており、今はホリスティック医学にもかかわっています。どちらかというと、のんびり屋でマイペースです。あまり人と同じことをしたくないという、天の邪鬼なところあり。
ホリスティックコミュニケーション実践セミナーHPはこちら。
http://holicommu.web.fc2.com

最新記事

検索フォーム

QRコード

QRコード