権威のお話し

2017年10月04日07:14

権威の影響力は絶大です。
うまく使えば、人を惹きつけ、
安心感や喜びを与えることができますが、
悪用すれば、人を陥れ不幸にすることも
容易にできてしまうのが権威です。

先生と呼ばれる立場の人、
特に医者や弁護士、政治家などは
誰もが、その肩書きを知った瞬間、
いきなり態度が変わり、
相手は低姿勢になってしまうという、
まさに権威の象徴的存在です。

私は普段病院で白衣は着ません。
そのため、病室で初めて私と会った
患者さんや家族は決まって、
この人誰だ?というような顔をします。
ときどき親戚のおじさんに間違われたりもします。

でも、医者であることを名乗ると、
いきなり態度が和らぎ、
ペコペコとお辞儀をし始めるのが常です。

以前、こんなこともありました。
入院してきた90歳の患者さんが、
以前から飲んでいる降圧剤を
そのまま飲み続けていました。

ところが、その患者さんは末期がんであり
そう長くはないと思われる状態であり、
なおかつ入院してきたときの血圧が
110/60mmHgしかなかったため、
当然2種類飲んでいた降圧剤は中止しました。

ところが、それに気づいた娘さんが
朝方、どうして降圧剤を切ったんですか!
何の説明も聞いてません!と、えらい剣幕で怒って
詰め所に来たという報告をナースから受けました。

その娘さんは仕事があったため
すぐさま病院を出たのですが、
夕方来るのでそのときに主治医から
説明を受けたいと言っていたと、
ナースから聞きました。

夕方、娘さんが来られたので
私は病室に行きました。
さぞかし怒っているのかと思いきや、
私の顔を見るなり、
「先生が中止するのがいいと
判断されて切ったのでしょうから、
それでよいと思っています」と、
私の思いとは裏腹にとても低姿勢でした。

私は、今の状態で降圧剤を飲むのは
かえって危険であると判断したので
薬は中止したと説明したところ、
娘さんも笑顔で、
「はい、わかりました、
あとはよろしくお願いします」と言って
穏やかな表情で私の話を聞いてくれました。

一般の人は、
医者の言うことは正しいと
思っているところがあります。
同じ説明をナースがしても
本当かなと、半信半疑なのですが、
医者が説明すると納得してしまうのです。
まさにこれが権威の力です。

ましてや本を書いている有名な先生に
診てもらったとなると、
患者さんも期待感に胸を膨らまして来るので、
その段階ですでに
半分はよくなってしまっているようなものです。

権威があることと偉いこと、すばらしいこととは
全く別のことなのですが、
どうも人は権威に弱いようです。

まあ、自分がうれしくなり、
エネルギーをもらえるのであれば
全く問題ありませんが、
権威を悪用して、人を苦しめることで
金儲けをしているような人もいるので
ご用心、ご用心、です。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


プロフィール

黒丸尊治

Author:黒丸尊治
もともと心療内科医でしたが、縁あって今は緩和ケア医として仕事をしています。もともと、コミュニケーションや「心の治癒力」に大変興味をもっており、今はホリスティック医学にもかかわっています。どちらかというと、のんびり屋でマイペースです。あまり人と同じことをしたくないという、天の邪鬼なところあり。
ホリスティックコミュニケーション実践セミナーHPはこちら。
http://holicommu.web.fc2.com

最新記事

検索フォーム

QRコード

QRコード