医療の常識は変わる

2018年01月26日06:14

私は、この世の中には
「絶対に正しい」ということもなければ、
「絶対に間違っている」ということもないと
思っています。

西洋医学の治療法や考え方も
私が医者になった頃に比べると
ずいぶんと変わりました。

その最たるものが消毒に対する考え方です。
昔は傷口の消毒やガーゼ交換は
毎日するというのが常識でした。
しかし、今はそれが意味のないどころか
かえって逆効果になるということで
傷口や手術後の傷跡に対する消毒は
しないようになってきています。

また、一般の手術室に入るのも
昔は靴下や履き物は
すべて清潔なものに換えてから
手術室に入っていましたが、
今は外履きのままでOKです
靴を履き替えることの意味が無いことが
わかったからです。

心肺蘇生の現実を見ても
昔と今ではずいぶんと変わりました。
私が医者になった頃は、
心臓が止まりかけたら
必ず心臓マッサージ(ちなみにこれも、
「胸骨圧迫」という名称に変わりました)などの
心肺蘇生をするのが常識でした。

末期がんであろうが、
高齢で衰弱死しそうな患者さんであろうが、
全く意味がないとわかっていながらも
心臓マッサージをするものでした。

昔は、死=敗北でしたし、
一秒でも長く生かすことが
医学の使命だと思われていたので
蘇生の可能性がないとわかっていても、
形式的にでも必ず
心臓マッサージをしていたのです。

それが今では、末期がんの最後のときに
心臓マッサージをすることは
ほとんどなくなりました。
もっとも、事前に本人や家族から
そのようなことはしないという同意を
得るようになったこともありますが、
それ自体が大きな変化と言えます。

このように医療の常識は
どんどん変わっていきます。
常識とは「正しいこと」ではなく、
多くの人が「正しいと思い込んでいること」
であるにすぎません。

もちろんこれは、
医療の世界だけのことではありません。
一般の人たちが信頼している医療ですら、
常識は変わるのですから、
世の中のすべてのことは、
時間の経過や時と場所、文化によって
常識は変わるものだということを、
また常識は非常識に変わるものだということを
私たちはしっかりと
認識しておく必要があると私は思っています。


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テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体


プロフィール

黒丸尊治

Author:黒丸尊治
もともと心療内科医でしたが、縁あって今は緩和ケア医として仕事をしています。もともと、コミュニケーションや「心の治癒力」に大変興味をもっており、今はホリスティック医学にもかかわっています。どちらかというと、のんびり屋でマイペースです。あまり人と同じことをしたくないという、天の邪鬼なところあり。
ホリスティックコミュニケーション実践セミナーHPはこちら。
http://kuromarutakaharu.com

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