理想論は嫌いだ!

2017年11月29日05:49

私は理想論やきれい事を言う人を
どうしても好きになれません。

心療内科や緩和ケアの分野でもそうですが、
教科書に書いてあるような
理想論やきれい事は
実際には全く役に立たないことが
しばしばあると感じているからです。

もっとも典型的な理想論は、
「前向きな気持ちを持つ」、
つまり「ポジティブシンキング」です。
もともと前向きな人は、
当然、ポジティブシンキングで生きています。
辛いことや苦しいこと、困難なことがあっても、
何とかしてそれを乗り越えることはできます。

しかし、それは「前向きな気持ち」を
持っている人に言えることであり、
心配性の人や自分に自信のない人、
ネガティブ思考のひとは、
当然のことながら、
前向きな気持ちなど持てません。

それをあたかも
「前向きな気持ち」を持てるように
なるべきだと言わんばかりに、
その大切さをやたらと語る人がいます。

このような人は、多分
現実が全くわかっていないのか、
「前向き」教の信者さんなのではないかと
疑ってしまいます。

大切なのは、
「前向きな気持ちを持て」と言うことではなく、
どうしたらそのようなものの考え方が
できるようになるのかを
教えてあげることだと思うのです。

「感謝の気持ちを持て」というのも同様です。
ありがたいと思えることには誰だって
感謝の気持ちを持つことができるでしょうが、
嫌だったり不快だったりすることに対しても
感謝が大切だなどと言われると、
この人は現実離れしている人だなと
思ってしまうのです。

もちろん、感謝の気持ちを持つことが
大切だということは百も承知ですし、
私だってそう思っています。

ただし、そのことと、
何事に対しても感謝の気持ちを持って
日々を生きていけるということとは
全くの別問題なのです。

いくら「前向き」だの「感謝」だの
理想論を掲げても、
それが実際にできるか否かは
全く次元の違う話なのです。

つまり、できない理想論を掲げ、
それを実行しろと言うのは、
実現不可能なことをしろと
言っているようなものであり、
そんなことを言っても
できないと思っている人にとっては
よりネガティブな気持ちになるのが関の山です。

できない人に対しては、
とにかくやれと言うのではなく、
「そう簡単にできることではないので、
今はできなくてもいいよ」と
言ってあげるところから出発しないと、
人は変わらないのです。

人が変わるためには、
無意識レベルに影響を及ぼす多くの経験と
思い込みに変化をもたらす
知識の積み重ね必要であり、
その上で適切な時期やタイミングで
「きっかけ」となることがあってこそ
初めて人は変わるのです。

そのような準備ができていないときに、
いくら前向きな気持ちが大切だの、
感謝が大切だのと言われても、
反発心が湧き上がってくるだけなのです。

ここが机上の空論である理想論やきれい事と
実際に人とかかわるときの違いです。
人間は心を持った生き物であり、
機械やロボットではありません。
「感謝」と入力すれば、
感謝ができるというわけではないのです。

「今は無理に感謝の気持ちを持つ必要はない」と
言ってあげることにより、人は気持ちが楽になり、
だからこそ、何かのきっかけで感謝の気持ちに
目が向く可能性が高くなるというものです。

こうすべきだと言われても人は変わりませが、
「北風と太陽」の話しのように、
相手が自ずと目指すべき方向に動き出すためには
どうしたらよいかという視点で
物事は考えていく必要があるのです。

理想論を言っている人は、
そのあたりが理解できていないのではないかと
私はいつも思ってしまうのです。


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テーマ : モノの見方、考え方。
ジャンル : 心と身体


プロフィール

黒丸尊治

Author:黒丸尊治
もともと心療内科医でしたが、縁あって今は緩和ケア医として仕事をしています。もともと、コミュニケーションや「心の治癒力」に大変興味をもっており、今はホリスティック医学にもかかわっています。どちらかというと、のんびり屋でマイペースです。あまり人と同じことをしたくないという、天の邪鬼なところあり。
ホリスティックコミュニケーション実践セミナーHPはこちら。
http://holicommu.web.fc2.com

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