ストレスは体によい?

2016年04月12日19:44

先日、久しぶりに面白いと思った本を読みました。
「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」(大和書房)です。
テーマはズバリ、「ストレスは悪者ではなく味方だ!」です。

以前からストレスには
よいストレスと悪いストレスがあることは知られていました。
例えば、ストレス評価尺度にはホームズとレイの
社会再適応評価尺度という有名な(古くさい?)ものがありますが、
これは死別を100のストレスとしたときの
他のイベントはどの程度のストレスかを数値化したものです。
それを見ると離婚は73ですが、結婚は50、妊娠は40と
一見おめでたいことでも実はストレスになることがわかります。

しかしこの評価尺度は、ストレス=悪という前提で作られたものであり、
そこには、できるだけストレスを少なくする、あるいは
避けられないストレスはうまくコントロールすることが
健康にとって大切だというメッセージが含まれています。

ところがこの本は全くその逆なのです!
ストレスを避けるのではなく、
それを真正面から受け止め、対峙していくことの方が、
実は健康にとってよいということを言っているのです。

そのさい最も重要なことは、
ストレスを悪者ととらえるのではなく、
自分を守ってくれたり、最大限の力を発揮させてくれたりする
味方だと認識することだというのです。

このことは、米国の3万人の成人に対して
8年間の追跡調査からもうかがい知ることができます。
調査の結果、強度のストレスがある場合、
死亡リスクが43%も高くなったのですが、
それは「ストレスは健康に悪い」と思っている人だけだったのです。

逆に「ストレスは健康に悪い」と思っていない人の
死亡リスクの上昇は見られませんでした。
それどころか、ストレスがほとんどない人たちよりも
死亡リスクが低かったのです。
これは驚きです!

この事実は、ストレスに対して肯定的な理解をしている人は、
ストレスがない人よりも死亡リスクが低くなるということを示しています。
これは今までの、ストレスに対する概念を大きく変えるものでした。
ストレスをどう受け止め理解するかによって、
心はもちろんのこと、健康にも正反対の影響がでるということなのです。

人はストレス状態に置かれると、筋緊張や動悸、血圧の上昇といった
「闘争・逃走反応」が起こると言われています。
これは命の危機にさらされたようなときに起こる反応です。

以前は、ストレス反応と言えば、この「闘争・逃走反応」だけでしたが、
最近は、それ以外にも「チャレンジ反応」や「思いやり・絆反応」といった
異なる種類のストレス反応があることが知られています。

「闘争・逃走反応」は注意力や集中力が高まるため、
瞬時に行動が起こせるようになります。
火事場の馬鹿力も、このストレス反応がなせる技です。

「チャレンジ反応」は集中力が高まりますが、恐怖心は起こりません。
アスリートやミュージシャン、外科医が一心不乱に
パフォーマンスや仕事に取り組んでいるときに生じるのが
このストレス反応です。

「思いやり・絆反応」が起きると、人とのつながりを求めたり、
いたわりの気持ちや仲間を守ったりする気持ちが強くなり、
勇気や希望が湧き、恐怖心が減ります。

この反応は、主にオキシトシンというホルモンの働きによります。
さらにオキシトシンは心臓細胞の再生や微小損傷の修復にも役立ちます。
このストレス反応は心臓を強化する健康的なストレス反応なのです!
人を助けたり、支えようとしたりするときには
この「思いやり・絆反応」が起こり、
自分の苦悩は和らぎ、健康状態にもよい影響をもたらすということなのです。

要するに、問題にチャレンジしたり、苦しみに意義を見出そうとしたり、
家族のために困難に立ち向かおうとしたりすることで生じるストレス反応は、
脳や体にプラスの作用をもたらす反応だということです。

ストレスを感じた経験の多い人ほど、
実は人生に大きな意義や生きがいを感じていることも多いのです。
これらの人たちはストレスを受け入れ、立ち向かい、乗り越えることで
さらなる充実感や達成感を持つことができるし、
その中から新たな気づきや学びを得ることで
より人生に対する生きがいを感じるようになるという
良循環の人生を歩むことができるのです。

逆に、ストレスを避けようとすると
充実感や、人生に対する満足感や幸福感が著しく低下し、
さらに「つながり」や「帰属」の意識も薄れることになり、
孤立してしまう可能性が高くなってしまうというのです。

この本を読んで、私のストレスに対する考え方もずいぶんと変わりました。
皆さんも是非、一度読んでみてください。
きっと、目から鱗が落ちると思います。

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プロフィール

黒丸尊治

Author:黒丸尊治
もともと心療内科医でしたが、縁あって今は緩和ケア医として仕事をしています。もともと、コミュニケーションや「心の治癒力」に大変興味をもっており、今はホリスティック医学にもかかわっています。どちらかというと、のんびり屋でマイペースです。あまり人と同じことをしたくないという、天の邪鬼なところあり。
ホリスティックコミュニケーション実践セミナーHPはこちら。
http://holicommu.web.fc2.com

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