私は人の心を操作している??

2013年01月23日18:17

今年に入って、メンタリズムで有名なDaiGoの本を立て続けに読みました。
「誰とでも心を通わせることができる7つの法則」
「これがメンタリズムです」
「人の心を自由に操る技術」の三冊です。

もっとも、これらの本を読むに至った経緯があるのですが、
それは一昨年の9月に遡ります。
新大阪駅の構内にある本屋の入り口のところに平積みになっている
トルステン・ハーフェナー(ドイツのマインドリーダー)の著書、
「心を上手に透視する方法」という本が目につきました。
心療内科時代に心理療法を駆使して患者さんの治療をしていた私にとって、
決して関心がない内容ではなかったのですが、
だからと言って、相手の心を読み取ったり操作したりする技術を
身につけようなどという気も別にありませんでした。

ところが、本の「はじめに」のところに著者のハーフェナーが、
14歳の時にマジックに目覚め、その後マジシャンとなり、
そのつながりでマインドリーダーになったということが書いてあったのです。
実は私も小学校5年生の頃からマジックにはまり、
毎日学校にマジックグッズを持っていってはみんなに見せていました。

何か自分と相通じるものを感じてしまい、ついこの本を買ってしまいました。
しかし本に書いてある内容は、
思考や感情は目や口の動きや
手足、からだの筋肉の微妙な変化として現れるので、
それを注意深く観察していると、相手の心が読み取れるというものでした。
理屈はわかるのですが、当然それなりのトレーニングが必要であり、
そこまでして学ぶ気もなかったので、
結局、その本はそれっきり本棚にしまい込んでしまいました。

しかし昨年の7月に同じハーフェナーの新刊書、
「心を上手に操作する方法」という本を見つけ、なぜかまた買ってしまいました。
それは、第1章に「お気に入りの手品の種明かし」という見出しがついており、
そこには相手が選んだカードを衝撃的な方法で当てるというマジックと
その種明かしが紹介されていたからです。
なおこのマジックは、後日宴会でたらふく飲んで酔っ払った際に
その勢いに乗ってみんなに見せてしまいました。
酔うと、どうもマジック本能が目覚めてしまうようです。

この本も、様々なテクニックが紹介されていましたが、
本を読んだだけでできるようなものではありませんので、
なるほどと思いながらも、一通り読み終えたあとは
これまた本棚にしまい込んでしまいました。
ハーフェナーの本は、とても興味はあったのですが、
マジックのこと以外で私の心に響くものはありませんでした。

その頃、テレビではDaiGoのメンタリズムと称した
スプーン曲げや物を当てたりするパフォーマンスが盛んに行われていました。
私も時々、DaiGoがやっているのをテレビで見てはいましたが、
すごいなあ、不思議だなあとは思ながらも、それ以上の思いはありませんでした。
実は、DaiGoもハーフェナーも、人の心を操ることができるという点では、
同じスキルを身につけたパフォーマーであり、
本の内容もずいぶんと共通しているところが多いのですが、
その時はあまり意識していませんでした。

そして今年の正月に何気なく本屋に行くと、なぜかDaiGoの
「誰とでも心を通わせることができる7つの法則」が目に入りました。
あまり買う気はなかったのですが、パラパラとページをめくっていると、
ふとある文章が目に飛び込んできたのです。
「メンタリズムの基礎を築いたミルトン・エリクソンという精神科医は…」
私は思わず「えっ!!」と声を出してしまいました。
なぜならば、私が今までとても関心を持って取り組んできた心理療法は、
まさに、このミルトン・エリクソンの流れをくんだものだったからです!
つまり、DaiGoのやっているメンタリズムと
私が治療で使ったり、セミナーで教えたりしているアプローチは
本を正せば、同じところから出ていたということになるのです!

これを知ったとき、急にメンタリズムに興味が湧き、
続けざまに彼の本を3冊読みました。
その中で彼は、大学時代にマジック研究会に所属し、
マジシャンとしても仕事をしていたことがあることを知り、さらに驚きました。
DaiGoもまた、マジックからこの世界に入ってきた人だったのです!
この世界で活躍する人は、元マジシャンの人が多いようです。
マジックも様々な心理的テクニックを応用しているので、
その意味では、共通している部分が多いのです。
なんか、自分も仲間に入れてもらったような気になって、
ますますメンタリズムに興味が湧いてきました。

また巻末の参考文献や本の中で紹介している書籍を見ると、
私がかつて読んでいた本なども結構含まれているではないですか!
それを見て初めてわかりました!
メンタリズムと私がやっている心理療法(ブリーフセラピー)の
根底を流れる共通項が。
それは現代催眠です。
そして、あのミルトン・エリクソンは、
「現代催眠の父」と呼ばれる存在の人でした。

催眠と言うと、「あなたは段々と眠くなる~」的なことを
イメージするかもしれませんが、これはショー催眠です。
現代催眠とは、相手とごく普通の会話をしながら、
実は相手の無意識に働きかけることで、
相手の心の状態をコントロールする方法です。
ですから、物事を自分の意志で決めたとか、
何かに自ら気づいたと本人は思っていても、
実はこちらの意志で、そのような状態を作ることができるのです。

そのため悪用しようと思えばいくらでも悪用できてしまいます。
その最たるものが詐欺師でしょう。
もちろん、現代催眠を学んでいる人のほとんどは、
人をハッピーにしたり、人を楽しませたり、
人を救うためにこの手法を使っています。

私自身、相手の心を操作してやろうなどと思ったことは一度もありませんが、
しかし、患者さんの治療に使っていた心理的アプローチを思い返してみると、
相手に何かを気づいてもらったり、やる気を持ってもらおうとする場合、
確かにそんな気になる状況をそれとはなしに作っていたように思います。
ただし、それを意図的にやっていたという認識は全くなく、
あくまでも患者さんの潜在意識の中にある「心の治癒力」を
うまく引きだすような質問をし、
その結果として患者さん自らが気づいてくれたり、
やる気を出してくれたりしていたと思っていましたし、
実際、そのような側面もあると思います。

しかしそれだけではなかったことが、
今回、DaiGoやハーフェナーの本を読んで何となくわかった気がしました。
患者さんの潜在意識に働きかけ、
ある程度の暗示や誘導はしていたなあと、思い当たる節があるのです。
もちろん、そこには悪意や患者さんを陥れようとする意図などありません。
いかに目の前の患者さんを救ってあげられるか、癒してあげられるかという、
そんな思いで一生懸命にやっていただけです。
その意味では、悪意のある詐欺師とは全く異なります。

それでも人の心を誘導するという意味では
詐欺師と同じではないかと言われるのであれば私は敢えて言います!
確かにその意味では私も詐欺師でしょう。
でも同じ詐欺師でも、人を陥れる詐欺師ではありません。
あくまでも人を幸せにする詐欺師です!そう、ハッピー詐欺師です。

ところで、このブログを書きながら、
ここに至るまでの一連の流れを振り返ってみて思ったのですが、
ハーフェナーやDaiGoの本を買ってしまったのは、
私の潜在意識がこれらの本を求めていたから手を伸ばしたのでしょうが、
同時に、これらの本も私の潜在意識に働きかけ、
「マジック」や「エリクソン」という言葉を見つけさせ、
私をその気にさせたのかもしれません。

私は自分の意志で本を買ったと思っていたのですが、
実は、本に自分の心を操作され、買うように仕向けられたというわけです。
これがまさに現代催眠の手法なのです!
本(出版社?)にしてやられたと言いたいところですが、
結果はとってもハッピーなので、逆に感謝の思いで一杯です。

今後は、もう少し現代催眠も学びながら、
現在やっているホリスティックコミュニケーション実践セミナーを
より充実させたものにしていきたいという思いが強くなってきました。
現代催眠の視点から、コミュニケーションスキルを見直すことで
また新たな展開ができそうです。乞うご期待を!
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テーマ : モノの見方、考え方。
ジャンル : 心と身体


プロフィール

黒丸尊治

Author:黒丸尊治
もともと心療内科医でしたが、縁あって今は緩和ケア医として仕事をしています。もともと、コミュニケーションや「心の治癒力」に大変興味をもっており、今はホリスティック医学にもかかわっています。どちらかというと、のんびり屋でマイペースです。あまり人と同じことをしたくないという、天の邪鬼なところあり。
ホリスティックコミュニケーション実践セミナーHPはこちら。
http://holicommu.web.fc2.com

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