大発見の裏にある驚きの視点!

2016年11月21日06:48

つい夢中になって読んでしまいました。
「フェルマーの最終定理」(サイモン・シン著、青木薫訳、新潮文庫)です。
500頁近くある本ですが、思わず吸い込まれてしまいました。
まるで推理小説を読んでいるようで、
早く先が読みたくて仕方がなくなるのです。

350年も間、決して解くことのできなかった数学の難問が、
1994年にアンドリュー・ワイルズによって解かれたのですが、
そこに至る歴史や、それにかかわる多くの数学者の業績、
さらには本質を理解するための、様々なたとえ話などを駆使して
全く数学がわからない素人でも興味深く読める本でした。

フェルマーの定理とは、
Xⁿ+Yⁿ=Zⁿ(Xのn乗+Yのn乗=Zのn乗)
この方程式はnが2より大きい場合には整数解を持たない

という、たったこれだけのものです。
n=2のときは3²+4²=5²となり成り立つことが簡単にわかります。
nが3以上の場合は、この等式を満たす整数XYZはないという定理です。

現代数学の天才たちが350年かけても解けないような難問ですから、
それはそれは奥の深さは並大抵のものではありません。
しかしワイルズは、なぜ解くことができたのか。
そこには、どのような分野にも言える、ある隠された秘密があったのです。

この問題を解くために、多くの人が様々な方法を用いて挑戦しました。
また新たな一歩を踏み出すために、新しい方法をたくさん開発いていきました。
それでも、どうしても解けなかったのです。

そこに風穴を開けるヒントになったのが、
谷山豊、志村五郎という二人の日本人のある予想でした。
それは谷山=志村予想と呼ばれるものですが、
内容は私たちのような一般人には理解できないものです。

それでも、あえて比喩を使って説明します。
動物と植物は全く異なるものですが、
両者とも細胞から出来ているという点では共通しています。
つまり、動物も植物も細胞という視点から見ると、
実質的には同じ生物だと言うことができます。

谷山=志村予想も、数学の領域の中で
全くかけ離れた、別々のものと思われていたものが、
実は実質的には同じものではないかという予想をしたのです。

そして、この谷山=志村予想が正しいということが証明できれば
フェルマーの定理も成り立つことがわかったのです。
ワイルズは、それから9年の歳月をかけ、
ついに証明したのでした。

この問題は、言ってみれば、動物学の専門家の知識と、
植物学の専門家の知識があってこそ解けたような問題でした。
ワイルズは、偶然にも、
この全く異なると思われていた両分野を
それぞれ研究する機会に恵まれていたのです。

もしもワイルズが、ひとつ分野にしか精通していなければ、
他の多くの挑戦者と同様、この定理を証明することは
できなかったと思います。

どの分野でもそうですが、学問はどんどん細分化され、
どんどん専門化が進みます。

医療の世界でも、肝臓病の専門家と心臓病の専門家では
お互いの分野の専門的なことになるとまるでわかりません。
うつ病に対する薬物療法の専門家である精神科医と
うつ病の心理療法を専門としているセラピストとでは、
考え方もやっていることも全く違います。

このように、どんどん細分化が進むことにより、
ひとつのことをより詳細に知ることはできますが、
その一方で、他の分野との関係性が見えなくなるため、
大切なものが見失われる危険性も孕んでいます。
なぜならば、物事はすべて
「部分」の中で完結しているわけではなく
つながりや関係性という「全体」の中で存在しているからです。

私たちは物事を考える際、
とかく一側面からしか見ない傾向にありますが、
ちょっと視点を変える、全体を俯瞰して見る、
さらには異なる分野との関係性を見るといった視点があってこそ、
初めて新たな気づきや発見ができるものなのです。

この本を読んで、つながりと関係性の重要さについて
あらためて深く考えさせられました。
是非皆さんも一読してみて下さい。
きっと新たな気づきがあると思います。


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ストレスは体によい?

2016年04月12日19:44

先日、久しぶりに面白いと思った本を読みました。
「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」(大和書房)です。
テーマはズバリ、「ストレスは悪者ではなく味方だ!」です。

以前からストレスには
よいストレスと悪いストレスがあることは知られていました。
例えば、ストレス評価尺度にはホームズとレイの
社会再適応評価尺度という有名な(古くさい?)ものがありますが、
これは死別を100のストレスとしたときの
他のイベントはどの程度のストレスかを数値化したものです。
それを見ると離婚は73ですが、結婚は50、妊娠は40と
一見おめでたいことでも実はストレスになることがわかります。

しかしこの評価尺度は、ストレス=悪という前提で作られたものであり、
そこには、できるだけストレスを少なくする、あるいは
避けられないストレスはうまくコントロールすることが
健康にとって大切だというメッセージが含まれています。

ところがこの本は全くその逆なのです!
ストレスを避けるのではなく、
それを真正面から受け止め、対峙していくことの方が、
実は健康にとってよいということを言っているのです。

そのさい最も重要なことは、
ストレスを悪者ととらえるのではなく、
自分を守ってくれたり、最大限の力を発揮させてくれたりする
味方だと認識することだというのです。

このことは、米国の3万人の成人に対して
8年間の追跡調査からもうかがい知ることができます。
調査の結果、強度のストレスがある場合、
死亡リスクが43%も高くなったのですが、
それは「ストレスは健康に悪い」と思っている人だけだったのです。

逆に「ストレスは健康に悪い」と思っていない人の
死亡リスクの上昇は見られませんでした。
それどころか、ストレスがほとんどない人たちよりも
死亡リスクが低かったのです。
これは驚きです!

この事実は、ストレスに対して肯定的な理解をしている人は、
ストレスがない人よりも死亡リスクが低くなるということを示しています。
これは今までの、ストレスに対する概念を大きく変えるものでした。
ストレスをどう受け止め理解するかによって、
心はもちろんのこと、健康にも正反対の影響がでるということなのです。

人はストレス状態に置かれると、筋緊張や動悸、血圧の上昇といった
「闘争・逃走反応」が起こると言われています。
これは命の危機にさらされたようなときに起こる反応です。

以前は、ストレス反応と言えば、この「闘争・逃走反応」だけでしたが、
最近は、それ以外にも「チャレンジ反応」や「思いやり・絆反応」といった
異なる種類のストレス反応があることが知られています。

「闘争・逃走反応」は注意力や集中力が高まるため、
瞬時に行動が起こせるようになります。
火事場の馬鹿力も、このストレス反応がなせる技です。

「チャレンジ反応」は集中力が高まりますが、恐怖心は起こりません。
アスリートやミュージシャン、外科医が一心不乱に
パフォーマンスや仕事に取り組んでいるときに生じるのが
このストレス反応です。

「思いやり・絆反応」が起きると、人とのつながりを求めたり、
いたわりの気持ちや仲間を守ったりする気持ちが強くなり、
勇気や希望が湧き、恐怖心が減ります。

この反応は、主にオキシトシンというホルモンの働きによります。
さらにオキシトシンは心臓細胞の再生や微小損傷の修復にも役立ちます。
このストレス反応は心臓を強化する健康的なストレス反応なのです!
人を助けたり、支えようとしたりするときには
この「思いやり・絆反応」が起こり、
自分の苦悩は和らぎ、健康状態にもよい影響をもたらすということなのです。

要するに、問題にチャレンジしたり、苦しみに意義を見出そうとしたり、
家族のために困難に立ち向かおうとしたりすることで生じるストレス反応は、
脳や体にプラスの作用をもたらす反応だということです。

ストレスを感じた経験の多い人ほど、
実は人生に大きな意義や生きがいを感じていることも多いのです。
これらの人たちはストレスを受け入れ、立ち向かい、乗り越えることで
さらなる充実感や達成感を持つことができるし、
その中から新たな気づきや学びを得ることで
より人生に対する生きがいを感じるようになるという
良循環の人生を歩むことができるのです。

逆に、ストレスを避けようとすると
充実感や、人生に対する満足感や幸福感が著しく低下し、
さらに「つながり」や「帰属」の意識も薄れることになり、
孤立してしまう可能性が高くなってしまうというのです。

この本を読んで、私のストレスに対する考え方もずいぶんと変わりました。
皆さんも是非、一度読んでみてください。
きっと、目から鱗が落ちると思います。

悪韓論、呆韓論、愚韓論、恥韓論…

2014年05月23日16:23

韓流ドラマにはまって以来、韓国語を勉強し、毎年韓国にも行っているのに
韓国が慰安婦問題や竹島(独島)問題などを取りあげ、
反日感情をあらわにしているニュースを見たりすると、
どうしてそこまで感情的になるのか、ちょっと残念な気がしてなりません。
さらに朴槿惠(パク・クネ)大統領までが、なぜ公然と日本の悪口を言うのか、
その真意もよくわかりませんでした。

そんなこともあり、もう少し韓国の現状や韓国人の考え方を知りたいと思い、
最近、話題になっている悪韓論、呆韓論、愚韓論、恥韓論といった類の本を
5,6冊読んでみました。
どの本を読んでも、表現は違いますが
だいたい同じような問題点を指摘しており、
韓国という国の現実や、韓国人の考え方が何となくわかった気がしました。

まず韓国人の心には反日感情が歴然と存在しています。
その背景には様々な歴史的要因や政治的意図があります。
特に、歴史教育にはいささか(かなり?)問題があるようです。
つまり、いかに日本が悪い国なのか、
日本のせいでどれだけ韓国は被害を被ったのかということを
小さい頃から学校なので教え込まれるのです。

しかしその歴史は、真実がねじ曲げられ、改ざん、捏造され、
また都合の悪い事実は隠蔽されることにより作り上げられているというのです。
まさに、政府によるマインドコントロールといったところでしょうか。
確かに史実や資料などを客観的に見てみると
従軍慰安婦や竹島問題などをはじめとする様々な問題の歴史的事実は
韓国の言い分とずいぶん異なる気がしますし、
アメリカの調査結果を見ても、日本の見解と同じです。
そのようなことから、韓国人が言っている歴史的事実というは、
韓国人にとって都合のよいように
意図的に歪曲されていると言われても仕方ないような気がしました。

ではなぜ、そこまでして韓国は日本を悪者にしなくてはいけないのでしょうか。
それは戦後、反日主義を愛国主義の要とすることで、
国をひとつにまとめようとする政治的意図があったようですが、
それとは別に、どうも韓国の国民性にも関係があるようです。
それは優劣意識や差別意識が強いということです。

韓国は言わずと知れた学歴社会です。
韓国社会では大卒でなければ出世はできないという意識が蔓延しており、
さらには、大卒でなければ人間扱いされないという思いもあるようです。
そのため多くの若者が大学まで進み、
一流企業(サムスンなどの財閥や大企業)に就職することを目指します。
事実、大学進学率は71%もあります。

しかし当然のことながらすべてが大企業に入れるわけではなく、
かといって大卒のプライドがあるためか、
それ相応の企業に入れないのであれば就職しない人も少なくなく、
そのため卒後就職率が60%程度にとどまっています(日本は94%)。
しかもそのうちの約半分が非正規雇用です。
また大卒男子新人社員の平均年齢は28歳超というのも驚きです。

しかも給与所得者の月収は全体平均では22万1千円ですが、
その半数以上は12万6千円以下です。
因みに、日本は全体平均が31万6千円で、約6割が33万3千円以下です。
経済的にもずいぶんと苦しい生活を強いられている人が多いようです。

なお、高齢者(65歳以上)の貧困率は48.6%(日本は19.4%)であり、
OECD(経済協力開発機構)加盟国34カ国中、最下位です。
そのためか75歳以上の老人の自殺率は
10万人あたり160.4人(日本は14.6人)とダントツです。
一般韓国人の経済状況はかなり厳しいようです。

話しを若者に戻しましょう。
とにかく自分が上で他人は下という優劣意識が強いため、
自分が社会から認められないというのはプライドが許しません。
認められるためにはウソでも賄賂でも整形でも何でもいいからして、
とにかく相手を蹴散らし、自分が勝つことに一生懸命になってしまう傾向があり、
それがしばしば争いや告訴・告発という形で現れます。

事実、韓国の告訴・告発件数は日本の146倍であり、
しかも偽証罪は日本の数百倍にも上ると言うのです。
相手が気に入らなければとりあえず告訴して、
ウソをついてでもやっつける!という思いが韓国人にはあるようです。

このような意識は個人レベルのみならず、国家レベルでも言えることです。
思い出すのが今年の2月に行われた
ソチ五輪フィギュア女子のキム・ヨナが銀メダルに終わった採点問題です。
韓国スケート連盟は国際スケート連盟に不服申し立てをし、
なぜキム・ヨナが金ではないのだと世論を上げて抗議をしました。
金メダルを取ったロシアの選手のフェイスブックは誹謗中傷で炎上、
「私が間違いを犯したの?」と打ちひしがれていたといいます。
韓国人は、客観的に事実を見て、俯瞰的にものを考え、
冷静に話しをするというのはどうも苦手なようです。

このように自分らは正しく優れているという意識が韓国人にはある一方、
なかなか就職できず、また就職ができたとしても
経済的な安定が得られないという現実があると、
不満のエネルギーがどんどん高まっていくことは容易に想像できます。

そこにもともとある反日感情が重なると、
はけ口の矛先は、自ずと日本に向けられることになります。
何かと日本を悪者にし、悪口を言い、日本を叩くことでストレスの発散をし、
日本よりも韓国の方が優れていると言い張ることで、
自分らの体面を保つと共に、気持ちを奮い立たせているというのです。
このようなことが、日本バッシングの背景にはあるようです。

もちろん、すべての韓国人がそのような思いを持っているわけではないでしょう。
でも、事実を客観的に見て、このような現実を正直に言おうものなら
売国奴としてみんなから罵られ、袋叩きにされ、
韓国では生きてはいけなくなるというくらい
韓国人の愛国心?は強いようです。
事実、「韓国人による恥韓論」の著者は韓国人ですが、そのことを恐れ、
名前を明かせないために「シンシアリー」と名乗っています。

とても親しみを持っていた韓国なだけに、
このような思いがあるというのは、ちょっと残念な気がします。
でも、今年もまた韓国に行ってきます。今回は済州島です。
一カ月前に韓国フェリーが転覆事故を起こしたことなど気にもせず、
フェリーで行くことにしました。
韓国人の思いと韓国旅行とは別問題ですので。

誰もがハマる思考の落とし穴(2)

2014年02月23日05:56

前回に引き続き、
「なぜ、間違えたのか?~誰もがハマる52の思考の落とし穴」から、
今回は医療現場でよく見られる「思考のワナ」について見てみたいと思います。

先ずは「権威のワナ」です。
これはあまりにも当たり前すぎるがゆえに、
誰もが知らず知らずのうちにハマってしまっているワナのひとつです。
その意味していることはいたってシンプルです。
人は権威のある人が言うことをつい信じてしまうというものです。

素人の意見には慎重になるのに、
専門家が言う意見には、たとえ疑問を感じていたとしても、
その言葉を信じ受け入れてしまうというものです。

これを実証したのがミルグラムの実験です。
これは、被験者が教授の指示に従って、
ガラス窓の向こう側に座っている人に電気ショックを与えるという実験です。
電圧は15ボルトから始まり、少しずつ上げていき
死に至る危険があるとされている450ボルトまで上げていきます。
その間、ガラス越しに見える人は苦痛に叫び声を上げ、
恐れおののき震えているのですが、
実際はすべて演技であり電流も流されていません。

被験者が実験を中断しようとすると、教授は落ち着いた声でこう指示します。
「そのまま続けてください。実験は続けることに意味があります」
するとたいていの被験者は実験を続け、
しかも半数以上が、最大である450ボルトまで電圧を上げたというのです。

このように、自分は疑問に思っていたとしても、権威のある人から言われると、
専門家は自分の知らないことをたくさん知っているのだから
きっと正しい判断をしているに違いないと思ってしまい、
その意見に従ってしまうのです。

白衣を着た医者はその象徴的存在と言えます。
例えば皆さんが病気になり、医者の治療を受けたとしましょう。
その医者が「病気の原因は汚れた血が原因なのでこれを抜きましょう」と言って、
血液を2リットル抜いたらどうなるでしょうか。
たいていの人は死にます。

医者はそんなバカなことをするわけがないと思われるかもしれませんが、
アメリカ初代大統領のワシントンは
当時の名医といわれていた医者に合計4回、約2リットルの血を抜かれ、
失血死したと言われています。

この血を抜く方法は瀉血(しゃけつ)と言われ、
18世紀頃までの西洋医学の中心的な治療法でした。
しかし権威のある医者の言うことは正しいと思われていたので、
誰もがそれでよくなると信じ、瀉血療法を受け入れ、
その結果たくさんの患者さんが衰弱し、死んでいったのでした。
医者のすることは、患者がたとえ疑問を感じたとしても
それを受け入れてしまうというのが、まさにこの「権威のワナ」なのです。

専門家はそれなりの知識や経験がありますが、
しかしその一方で専門家もまた同じように、
多くの思考のワナにはまっているのです。
そのひとつが「社会的証明のワナ」です。
これは周囲の人の意見がみな同じであれば、
自分もその意見に合わせてしまうという思考のクセのことです。

例えば、医者の中には
一般的に行われている標準的な治療に疑問を感じている人もいます。
抗がん剤治療などがそのよい例です。

通常の抗がん剤治療に疑問を感じていたとしても、
周囲の医者が当然のごとく、がん患者さんに抗がん剤治療をしているならば、
やはり自分も抗がん剤治療をしないとけないと思ってしまうのです。
本当にこんなことをして意味があるのだろうか、
患者さんにとって本当によいことなのだろうかという疑問を持ちながらも、
もし抗がん剤治療をしないで患者さんが亡くなり
訴えられるようなことになったらどうしようというような不安がよぎると、
治療に対する懐疑心がありながらも、抗がん剤治療をすることになるのです。

この「社会的証明のワナ」は、
株式市場の動向やファッションの流行、ダイエットブーム等々、
様々な場面でこの現象は見られます。

これにも面白い実験があります。
被験者に4cm程度の長さの直線を見せます。
その後、A、B、Cと3本の直線が書かれた1枚の紙を見せられ、
最初に見せた直線と同じ長さの直線は、この3本のうちのどれでしょうと問われる。
Aはやや短く、Cはやや長いので、
正解はBであることは普通の人ならわかるようになっています。
ところがサクラの被験者7名が次々とAだと答えると、
自分も段々自信がなくなり、結局Aと答えてしまう人が30%もいるというのです。

このように自分は違うと思っても、周りの人みんなに正しいと言われてしまうと
自分の意見を変えて周りに合わせる傾向が人にはあるのです。
もちろん自分の意見を最後まで貫く人はいますが、
その人は英雄になるか、つまはじきにされるかのどちらかです。

う~ん、今回も二つしか紹介できませんでした。
他にもたくさんの「思考のワナ」がありますが
またの機会にします。

きっとこのブログを読んで、そうかと思ってくださった人もいることでしょう。
でも、もしかしたらあなたも「権威のワナ」に陥っていませんか?




テーマ : モノの見方、考え方。
ジャンル : 心と身体

誰もがハマる思考のワナ(1)

2014年01月24日07:04

久しぶりに面白いと思える本を読んだので紹介します。
「なぜ、間違えたのか?~誰もがハマる52の思考の落とし穴」です。
この本には、私たちが日常生活や仕事で
知らず知らずのうちに陥り、
物事の判断を誤らせてしまう思考のクセが
52項目にもわたって書かれています。

例えば専門家の言うことは正しいと思ってしまうとか、
自分にとって都合の悪い事実はすぐに忘れてしまうなど、
言われてみると、確かにそうだと思えるものがたくさんありました。

逆にそれをうまく利用することで
自分にとって都合のよいコミュニケーションを取ることもできるので、
その意味でもとても興味深く、役立つ本でした。

52項目の最初に紹介されていたのは「生き残りのワナ」です。
イチロー選手やビル・ゲイツ、村上春樹といった超一流の人たちを見て、
自分もいつか一流になって成功したいと思い、
スポーツにせよ事業にせよ、小説にせよ、
自分が目指すものに一生懸命に打ち込み、努力する人たちがたくさんいます。
人は、自分もがんばれば、一流とまではいかないまでも
それなりの成功くらいは収められると思うものです。
ところが現実には、成功を収められる人というのはほんの一握りであり、
ほとんどの場合、自分が思い描いていたような成功をつかむことなどできません。

成功は大々的に取り上げられ目立つのに対し、
失敗はほとんど表には出てこないため全く目立ちません。
そのため人は、目立つ成功ばかりに目が向いてしまい、
自分も成功できると、ついつい過大評価してしまうのです。
これが「生き残りのワナ」という思考のクセです。

ベストセラー作家1人の陰には本が売れなかった作家100人がおり、
売れなかった作家1人の陰には出版者を見つけられなかった人100人がおり、
出版者を見つけられなかった人たち一人ひとりの陰には
書きかけの原稿を引出にしまったままの人がそれぞれ100人控えています。

つまりベストセラー作家という成功例ばかりを見ていると、
自分も努力すればベストセラー作家になれるかもしれないと
思えてしまうのかもしれませんが、
現実はそう甘くはないということです。
夢を抱くのは自由であり、それに一心不乱に突き進むというのもよいのですが、
どこかで現実の壁にぶつかったとき、夢をもう一度見なおす勇気も必要なのです。

私も、単行本5冊、共著3冊、共訳書3冊さらにNHKからCDも出していますが、
すべて含めて、昨年一年間に入った印税は、な、な、なんと11,376円でした。
印税生活なんて夢の夢のまた夢です。これが現実です。
もっとも作家で生活していこうなんていう気はさらさらありませんが。

一方、人は夢や希望を抱き、
それに対して多大な労力と時間、お金をつぎ込んでいると、
今さら途中であきらめるなんてできないと思ってしまう傾向もあります。
これが「サンクコストのワナ」と言われる落とし穴です。

かつてイギリスとフランスは、
コンコルドの開発という共同プロジェクトを立ち上げましたが、
両国とも超音速旅客機は決して採算が取れないという事実に
早くから気づいていました。
しかし途中でやめる方が正しいと分かっていても
すでに投じられた巨額の資金のことを考えると
なかなか開発を断念することができませんでした。
これがサンクコストのワナであり、別名を「コンコルドの誤謬」とも言います。

このように、何か実現したいと思うことに対して
多大な時間やエネルギー、資金の投入などをしていると
それを無駄にしたくないという心理が働き、
無理だとわかっていてもなかなかやめられないのです。

私が予備校に行っていたとき、有名な浪人生がいました。
彼は毎年、東大医学部を受験するのですがいつも失敗。
でも決してあきらめることなく受験し続けました。
その結果、私が同じクラスになったときにはすでに10浪目でした。
彼も、ここまでがんばってきたのだからあきらめるわけにはいかないという
サンクコストのワナにはまってしまったのでしょう。
東大以外の医学部なら入れたのではないかと思うのですが‥。

一方、私たちが日常生活の中で
ごく普通にやっている思考のクセに「確証のワナ」というのがあります。
これは何か新しい情報が入ってきたときには
自分の都合のよいように理解・解釈し、
自分の考えと合わないものはスルーしてしまうという脳のクセのことです。

あるダイエット法を試してみて、少し体重が減ると
この方法はやっぱりいいかもしれないと思い、喜びますが、
逆に体重が少し増えると、時にはそんなこともあろうと、
その事実はスルーされてしまいます。

天気の悪い日は神経痛が悪化すると思っている患者さんは、
天気が悪い日に神経痛が悪化すると、ほら、やっぱりそうだ、と思います。
一方、晴れた日に神経痛がでたり、雨の日に神経痛が悪化しなかったりしても
それらの事実はスルーされてしまい、記憶からすぐに忘れ去られてしまうのです。
その結果、「天気の悪い日には必ず神経痛が悪化する」と
確信するようになります。

逆に、この心理をうまく利用しているのが占い師です。
人は自分のことを占ってもらいたいと思って、占い師のところに行きます。
その占い師が「あなたは今、人間関係の問題で悩んでいますね」と言うと、
たいていの場合は当たります。
なぜならば、人間関係と言っても実際にはピンキリであり、
ほとんどの人は家庭や職場に大なり小なりそのような問題を持っているからです。
たとえ思い当たるようなトラブルがなかったとしても、
そう言いえば、先日会議で同僚とちょっと言い合いになったけど
もしかしたらそのことを言っているのかもしれないなあと、
勝手に拡大解釈し、この占い師は当たると思ってしまうのです。

また、そのような事実が全く思い当たらず、
今回は当たらなかったなあと思ったとしても
「過去には人間関係の悩みを抱えていましたよね」と占い師に言われれば、
ほとんどの人は、それには「はい」と答えるでしょう。
その後あれこれ話をしながらタイミングを見計らって、今度は
「あなたは将来のことで悩んでいますね」と言われたら、
これまた先程と同様のパターンで、かなりの確率で当たります。
人間関係に問題があるという読みがはずれていても、こちらが当たっていれば、
「今、人間関係の問題で悩んでいますね」と言った先程の間違った読みは
きれいに忘れ去られ、
やっぱりこの占い師は当たる、と思わせられてしまうことになります。

このように言われたことを都合のよいように解釈し、
都合の悪いものはきれいに忘れてしまう、
そんな心理が人には働くのです。
占い師は、人の持つこの心理特性を上手に利用して、
人の心を読んだり、未来を当てたりしているのです。
これなどは、人がしばしば陥る「確証のワナ」を上手に利用した例と言えましょう。

もっと色々と面白い思考のワナがあるのですが、
今回は3つしか紹介できませんでした。
他のものは、いずれまたの機会にご紹介させて頂きます。

テーマ : **本の紹介**
ジャンル : 本・雑誌


プロフィール

黒丸尊治

Author:黒丸尊治
もともと心療内科医でしたが、縁あって今は緩和ケア医として仕事をしています。もともと、コミュニケーションや「心の治癒力」に大変興味をもっており、今はホリスティック医学にもかかわっています。どちらかというと、のんびり屋でマイペースです。あまり人と同じことをしたくないという、天の邪鬼なところあり。
ホリスティックコミュニケーション実践セミナーHPはこちら。
http://holicommu.web.fc2.com

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